『偽りの儒教 』は、中国系カナダ人のドリス・リウが三年の歳月をかけて制作したドキュメンタリー映画。カナダの大学と教育局に焦点を当て、中国政府が数十億ドルを投入して構築した中国語教育機構「孔子学院」が、国際社会で大きな論争を呼び、ボイコットされるに至った様を深く掘り下げる。
主人公は、カナダ孔子学院の元教師ソニア・ジャオ(趙琪)。孔子学院では信仰を持つことが許されないため、自由な国カナダに身を置きながらも不安な日々を過ごしていた。苦しい選択の末、ソニアは孔子学院を離れ、カナダ政府への難民申請を決意する。同時に、自らが孔子学院で経験した政治的プロパガンダや人権差別などを訴え、カナダのマクマスター大学の孔子学院は閉鎖に至る。その後、西側社会では次々に孔子学院をボイコットする動きが生まれ、特に、カナダ最大のトロント教育局では民衆の抗議や激しい論争が取り交わされた。『偽りの儒教 』は、三ヶ月にわたりエスカレートしていく対立と教育局での最終決定の過程を実録する。
『偽りの儒教 』は、アメリカの国際映画コンクールで「人道的映画 特別賞」をはじめ、いくつかの国際映画賞を獲得。2018年8月時点で、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、ドイツ、ポーランド、アイルランド、スペイン、南アフリカ、日本、台湾など十二の国と地域で上映され、反響を呼んでいる。台湾の上映会では観客やメディアの間で熱い議論が交わされた。
映画の中では、元ミス・カナダのアナスタシア・リンがソニア役で現場を再現している。